●序章  ●エッカーマン編  ●冒険者ギルド編  ●魔族編

序章

その昔、人と世界樹は心を通わせ生きていた

人は世界樹を愛し、世界樹もまた人を愛した


しかし幾千もの月日が流れ、人は奢り高ぶる

この世の全てから搾取し、己の繁栄を優先していった


やがて世界樹の無限の力を手に入れようと、

人は世界樹を守護する神々へ戦争をしかけるのだった


怒った神々はマナの循環を停止させる

結果、多くの生き物が死にいたった

残された人々は間違いを悔い、同じ誤ちを繰り返さないと誓った


しかし・・・

数千年が経ち、人々は全てを忘れようとしていた



世界樹をめぐり

また新たな物語が始まろうとしている



エッカーマン編

 とある田舎街、ランゲンハーフェンにやってきた王国軍のミュラーとアルフレート。この街では女性が相次いで行方不明になっているという。

 前々から行方不明者は出ていたものの、『かの地に眠る亡霊の仕業』など、まことしやかな怪談が流れる程度だった。

 もちろん王国軍にも伝わっていたものの、単なる噂話として処理されていた。そんなある日、王都に虫の息となったランゲンハーフェンの街人が現れる。


『た、助けてくれ、あの街は恐ろしい呪いと陰謀が渦巻いている……』


そう言い残し、無念そうに息を引き取る街人。


 真偽は定かではないが、王国内でそのような話が出てしまったのだ。『一応、確かめなければなるまい』そう王国軍部隊長に投げやりに言い渡され、たった2名でランゲンハーフェンの街を調査するよう命じられたのだった。


 ミュラーとアルフレートは内密に、手分けして街の様子を探っていくこととなり、2人が訪れた次の日から物語が始まる。(第01話~)


冒険者ギルド編

ー冒険者ギルドに在籍している者は、クエストを行っていない場合、冒険者プレートをはく奪され在籍できなくなってしまうー


 しばらくクエストをやらず冒険者ギルドと疎遠になっていたミュラー。時間が空いた期にクエストを済まそうと冒険者ギルドにやってきた。『1つ簡単なクエストさえ行ってしまえば、またしばらくは何も言われないだろ。』と気軽にスタッフのいるカウンターへ足を進める。そんな中、1つの依頼書が目に留まる。


【世界樹を助けて】


と震えた字で書かれた依頼書。普段なら気にも留めず目的を済ませてしまうところだが、今日だけはヤケに気にかかった。『切羽詰まったかのように必死に書かれた依頼書なんですよ。』と答えるギルドスタッフ。


 世界樹は何事もなく無事のはず。半分イタズラかのようなこの依頼書、本来ならば受理されない。しかし依頼主があまりにも必死に頼み込んでくるので保留扱いになっているようだ。『内容が内容ですからね、報酬も冒険者の方々が納得するものでないと……』とスタッフは言う。


 本当に世界樹へ危機が迫ろうとしているのだろうか?依頼書に書かれた内容はやがて冒険者ギルド全員の問題へと発展していく。そして国全体を揺るがす事件になることを今はまだ誰も知らない。(第08話~)


魔族編